東北大学病院 未来医療人材育成寄附部門

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2023.10.18

活動報告

KPMGコンサルティング株式会社 ライフサイエンス・ヘルスケア アソシエイトパートナー 赤坂亮先生「ライフサイエンス・ヘルスケア業界の最新トレンドと大学発スタートアップに対する期待」を開催しました

10月4日(水)18:00-19:00、今年度第6回目の未来型医療創造卓越大学院プログラムFM DTS 融合セミナー(共催:臨床研究推進センターバイオデザイン部門・医工連携イノベーション推進事業)KPMGコンサルティング株式会社 ライフサイエンス・ヘルスケア アソシエイトパートナー(兼)KPMGジャパン プライベートエンタープライズ スタートアップ担当 赤坂亮先生の講演会をオンラインにて開催致しました。

今回の講演では、国内外におけるスタートアップ企業、特に近年急激に成長を遂げたヘルスケア部門の企業が抱える現状と課題を多角的な視点で解説していただきました。

2022年の資金調達ランキング10位以内にはヘルスケア部門のスタートアップ企業が3社も躍り出し、ITとヘルスケアを繋げた研究開発は大きな注目を浴びています。米国では対象疾患を癌に絞り成果を上げる企業や、成長した企業の買収により対象疾患の幅を広げる企業などが存在し、スキャフォールド治療や遺伝子治療、核酸医薬などの開発の成長が著しい状況です。

比べて日本ではシードやアーリーステージでは資金調達は充実している一方で、目利きのあるVCが少ないためにミドルやレイターステージでの支援が不足しており、スタートアップ企業が十分に成長できていないと赤坂先生は分析されていました。特にライフサイエンス分野では次に示す5点の課題があると指摘されていました。

一つ目が行政による資金・人材支援不足です。二つ目は世界市場への展開を見据えるグローバルな視点の不足で、三つ目としてリスクマネーが少ないことが挙げられましたが、これは客観的なデータが蓄積するまでに時間がかかるために消極的な投資家が多いというバイオ研究ならではの課題と言えます。四つ目は欧米に比べて大企業連携が活発に行われていない点であり、五つ目は事業が軌道にのるまでに時間を要する技術開発型スタートアップ企業や地域発スタートアップへのサポート不足だと述べられました。

バイオベンチャーに必要なことは早い段階から海外の市場や顧客を想定し、海外投資家の注目を浴びることであり、そのための情報開示が重要であると強調されていました。また国内では仙台市の取り組みのようなエコシステムの構築の拠点作りに注力することが企業成長の鍵となると、締めくくられました。

本講演会は、卓越大学院プログラムに参加する学生の他、企業の方を含む幅広い領域から学内外373名の方々にご参加いただきました。

赤坂先生、ご講演いただきありがとうございました。

文責:東北大学病院 臨床研究推進センターバイオデザイン部門 学部4年 角南沙己