東北大学病院 未来医療人材育成寄附部門

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2023.3.15

活動報告

味の素株式会社 取締役代表執行役副社長 白神浩先生「味の素グループのパーパス経営―イノベーションによる未来の地球・社会への貢献―」を開催しました

3月8日(水)18:00-19:00、今年度第10回目の未来型医療創造卓越大学院プログラム(共催:臨床研究推進センターバイオデザイン部門・医工連携イノベーション推進事業)FM DTS 融合セミナー 味の素株式会社 取締役代表執行役副社長 白神浩先生 先生の講演会をオンラインにて開催致しました。

今回の講演では、味の素グループの”志”経営、白神先生がCIO(Chief Innovation Officer,研究開発統括)として担当されている事業モデル変革(BMX)の取り組み、アウトカム実現を目指す4つの成長領域についてお話しいただきました。

味の素グループは「グルタミン酸がうま味の素である」という大きな発見・イノベーションから出発した会社であり、1909年の創業以来「新しい価値を創造する」「開拓者精神をもつ」という価値観は100年を超えて受け継がれています。さらに「食と健康の課題解決」だけではなく、その上位概念である「アミノサイエンスⓇで人・社会・地球のWell-beingに貢献する」という志を掲げ、そのパーパスの実現に向けて社会価値と経済価値の共創に取り組まれています。そのようなイノベーションを共創していくための柱として「無形資産の強化」を挙げ、人財資産、技術資産、顧客資産、組織資産といった無形資産の重要性や、無形資産を強化するためのマネジメント方法について解説していただきました。

続いて、事業モデル変革(BMX)の取り組みについてご説明いただきました。味の素グループの持続的成長戦略は、まずは重点6事業の確実な成長、そして4つの成長領域でのBMX、最終的には継続的な次世代事業の創造という3段階で構成されています。このBMXは、未来の実現したい社会からバックキャストするという視点と、市場や顧客を起点として、その変化を先取りして現在の事業を変革させていくという視点があり、その実現に向けてグループの無形資産を徹底的に活かすことが重要になります。未来からのバックキャストという視点では、地球・社会のメガトレンドをもとにグループとして実現を目指す姿を設定した結果、「ヘルスケア」「フード&ウェルネス」「ICT」「グリーン」という4つの成長領域を設定し、この4つの領域でBMXを推進していくと話されました。

味の素グループのBMXへの取り組みは、2010年のアミノサイエンス事業の変革から始まりました。創業時から続くアミノサイエンス事業のコモディティ化が進み、事業の収益性と持続性が大きな課題となったため、アミノサイエンス事業をより高付加価値なSpecialty事業へ転換させるというBMXを行い、結果として機能性材料やヘルスケア分野のアミノサイエンス事業の大きな成長につながっています。このBMXの成功事例は「型化」され、全社で展開されています。その結果創出された新事業について4つの成長領域における実例を交えながらご説明いただきました。

最後に、グループ創業時から変わらない”Eat Well, Live Well.”というコーポレートスローガンを掲げ、今後もアミノサイエンスを軸として4つの領域でのWell-beingを実現していきたいと締めくくられました。

講演後には学内外から多くの質問が寄せられ、活発な議論となりました。

本講演会は、卓越大学院プログラムに参加する学生の他、企業の方を含む幅広い領域から学内外351名の方々にご参加いただきました。

白神浩先生、ご講演ありがとうございました。

文責:元インターン 岩本空(所属:工学研究科)